宇宙を思い浮かべる③「相対性理論」から導かれる宇宙の膨張

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相対性理論から導いた宇宙の膨張

今の宇宙論の先駆け、その扉を開いたのは、アインシュタインの相対性理論であったといわれています。そもそも相対性の原理とはどういったことなのでしょうか。

アインシュタインの相対性理論

相対性原理とは「体外に運動する物体の座標系の間では、物理学の法則は不変な形で表される」という原理で、ガリレオ・ガリレイはそのパイオニアで「一定の速度で運動している慣性系には静止している慣性系と全く同じ力学法則が動く」ことを説きました。

アインシュタインは2つの相対性原理を理論化していて、物体の運動を表すニュートン力学として成立していたガリレオの相対性原理は、光の運動下では成立しないことがわかっていました。

1905年に発表された「特殊相対性理論」はマクスウェルの電磁気学をあらゆる慣性系で成り立つようにした理論であり、光速度不変の原理や質量とエネルギーの等価性が導かれました。

アインシュタインは、1916年に「一般相対性理論」において、重力が及ぼす加速度と運動を同等に扱うことによって、加速度系でも物理法則を不変な形で表すことに成功しました。物質の作り出す重量が決定する時空での運動を表す方程式を数学的に解くことで宇宙全体の進化を扱うことができるようになりました。

1919年5月29日にアフリカで観測された皆既日食では、星の光が太陽の重力によって曲げられていることが示され、アインシュタインの相対性理論が実証されています。

1922年にフリードマンは宇宙の3つの進化の可能性を導き出しました。

①膨張後収縮
宇宙に存在する物質の量が多く重力が打ち勝つ場合、膨張速度は遅くなり最終的に収縮する
②減速しながら膨張
物質の量がちょうどいいときは、ゆっくりとした速度で無限に広がり続ける
③一定の速度で膨張
物質の量が少ない場合は、一定の速度を保ちながら永遠に続く

1927年にはルメートルが、過去に遡れば宇宙は小さな1点の「宇宙の卵」に収斂すると結論付けました。

一方静的な宇宙を信じていたアインシュタインは、上記の動的な理論について「数学的に正しいとしても物理的には受け入れ難い」と最初は否定していましたが、最終的には観測的証拠によって宇宙膨張は決着します。

アインシュタインの間違い

アインシュタインは、「宇宙は永遠不変である」という信念に基づき、宇宙が己の重力によって1点に収縮しないように、空間の斥力を表す宇宙項を加えて補正しました。

ロシアのフリードマンが投稿した膨張宇宙の論文を審査したアインシュタインは「計算が間違っている」と指摘しました。最終的には計算の正しさを認めたものの、物理的にはセンスがないと認めませんでした。

ハッブルの法則が発表され、宇宙膨張が観測的に支持されたあとアインシュタインは「人生最大の不覚であった」と語っています。さらに、ウィレム・ド・ジッターと発表したビックバン・モデルの論文で宇宙項は不要だと撤回しています。

しかしのちに宇宙には未知の膨張エネルギーが働いていることが判明し、宇宙項の意味が見直されていて、撤回もまた誤りであったことがわかっています。

相対性理論に基づきGPSの時間に誤差が生じる

特殊相対性理論で導入した光速度不変の原理に基づくと、高速で運動している人の時間は静止している人に対して遅れることになります。さらに一般相対性理論により強い重力が働いて歪んでいる時空でも時間は遅れます。

この2つの相対性理論は「観察者のいる場所と運動が違えば時間は異なる流れ方をする」という事実を導きます。

実際にジェット機に搭載した原子時計で理論予測どおりの時間遅れの効果が確認されています。この効果をGPSに当てはめてみると、地球の周回軌道を約4km/sで運動しているGPS衛星は、特殊相対性理論の効果で10-11単位で時間が遅れます。

同時に高度約2万kmの軌道上は地表よりも重力が弱いので、一般相対性理論の効果で10-10単位で時間が進みます。ということは合計で1日あたり38μs(マイクロ秒)の時間のずれを補正しないと、GPS衛星は1日で11kmの誤差を生じることになります。

各国の宇宙機関

JAXA(ジャクサ)日本の宇宙航空研究開発機構(Japan Aerospace Exploration Agency)
NASA(ナサ)アメリカ航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration)
ESA(イーサ)ヨーロッパ宇宙機関(European Space Agency)ヨーロッパ22カ国が参加