人事・採用術「採用の怖さに向き合うリスクマネジメント」

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期待にあふれる採用は、悲劇を招きやすい

言うまでもなく、採用は会社にとって大イベントです。小さな会社であれば、なおさらです。それが新卒採用であっても中途採用であっても、その採用によって多かれ少なかれ会社の何かが変わるのですから、新しい仲間を受け入れる皆さんの胸は期待で膨らみます。

私にも経験がありますが、人を採用する時はとてもウキウキします。「あの人が入社したら、あれをやってもらって、これを変えて~」と頭の中が超前向きになるのが普通でしょう。

しかし、そのポジテイプな気持ちが何カ月か後に、困惑や失望、そして後悔の入り混じったドンヨリとしたものに変わってしまうという悲しいストーリーも普通に見られます。

人を採用できるということは、その会社が頑張ってきたことへのご褒美です。だからこそ、採用に臨む中小企業には前述のように、誇りを持ってほしいですし、社長や採用関係者が時に嬉しくて舞い上がってしまうのも無理もない話です。

しかし、実に魅惑的な「採用の扉」の向こうに天国があるのかもしれない一方、地獄が待っている可能性も決して小さくありません。採用に関係するすべての人に、その認識をもう少し深めてほしいと思います。

採用には徹底したリスクマネジメントが必要です

「新しい仲間を採用する」という甘美な取り組みと、退職勧奨、懲戒解雇、労働審判、訴訟などの血生臭い世界とは、常に背中合わせなのだという現実から目を背けてはいけないのです

最近採用した人のことで、悩みに悩んで「夜も眠れない」「月曜が来るのが怖い」状態になってしまっている中小企業の社長や管理職の話を、今まで数えきれないほど見聞きしてきました。

「お願いだから辞めていってほしい」と心の奥で願っても、一度採用してしまったら、それはかなわぬことと思った方がよいでしょう。問題の多い社員ほど、会社にしがみつくものです。

その状態は、社長や管理職の心を蝕み、会社に大きな損失をもたらします。それはすべて、あの「希望に満ちた採用」から始まったのです。

いきなりネガティブな話から入ってしまいましたが、実は徹底したリスクマネジメントが、結果として本当に仕事ができる人の採用に繋がります

「リスクをつぶしていった結果、どこにも見つからなければ優秀な人材である」というアプローチは、 一見すると後ろ向きに感じられるかもしれませんが、実は極めて合理的です。

「人を採りたい」という願望が強くなっている採用現場で、長所にばかり視点を集めたのでは、この人はできるに決まっている」という採用側の美しいストーリーにあらゆる情報が巻き込まれてしまい、安易な「期待先行の採用」となって悲劇を招く確率が高くなります。

フラットな、どちらかと言えば冷徹な心で人に向き合い、常にリスクを念頭に置いた採用を実施しなければ、応募者の人柄やカ量と落ち着て向き合えず、結果として採用の精度が怪しくなってしまいます。